2024.12.10 その他

「テルハラ」とは?職場での電話ハラスメントの実態と対策

テルハラ アイキャッチ画像

会社員の業務内容の中に、電話対応があります。
社外や社内からのさまざまな問い合わせが、デジタル化が進み、さまざまなコミュニケーションツールが浸透している現在でも、電話を利用して問い合わせが来ることが少なくありません。
これまでの慣例から、電話対応は若手社員の仕事と強く思っているベテラン社員も多いと思います。

しかし、この電話対応を若手社員に強要することが、最近ではハラスメントの一種として認知されつつあります。
これをテルハラと言います。

この記事では、テルハラとは何なのか、テルハラの実態やその影響、テルハラへの対策などについて解説します。

本記事を読めば、テルハラへの捉え方が変わると思います。
ぜひ最後までご覧いただければと思います。

テルハラとは

ここでは、テルハラの意味やその背景について解説します。

テルハラの意味

テルハラとは、TELハラスメントの略称で、職権のあるベテラン社員が、立場の弱い若手社員に、電話対応を強要するハラスメントのことです。

さらに、電話対応があまり上手くできない若手社員に対して、人格を否定したり、嫌がらせを行ったり、あるいは、必要以上の叱責や、若手社員が電話対応を上手くこなせるようにサポートを怠ることも、テルハラに該当します。

電話対応が上手くできないからと言って、その若手社員に対して、人格否定や嫌がらせを行うのはハラスメントとして理解が得られやすい事例だと思います。

しかし、読者の中には、電話対応は若手社員が対応するのが当たり前ではないか、と感じる方も多いと思います。

ところが、この従来の常識が覆ってきているという実態があります。

テルハラが発生する背景

テルハラが起きてしまう根本的な理由は、若手社員とベテラン社員の電話対応に対する価値観の大きな齟齬があります。

ベテラン社員が若手社員だった頃は、社内の固定電話でのコミュニケーションが当たり前だったので、電話対応に対する抵抗感が少ないです。

しかし、若手社員はLINEやInstagram、TikTokなどのSNSによるテキストや動画を介したコミュニケーションの取り方が当たり前の世代で、電話によるコミュニケーションに慣れていない方が多いです。

この二者間の価値観や生活様式の違いが、テルハラが発生してしまう大きな原因となることが考えられます。

このような背景から、若手社員の中には、知らない人と電話によるコミュニケーションを図ることに恐怖感を抱く方もいるでしょう。

テルハラも立派なハラスメントの一つとなる現代

現代では、テルハラも立派なハラスメントとして捉えつつある時代となっています。

そもそもハラスメントとは、 社内において職権などの優位性を持っている方が、優位性が低い社員に対して、業務上の指導範囲を超えて、嫌がらせや迷惑行為などを行い、優位性が低い社員に対して精神的あるいは身体的苦痛を与えることです。

ハラスメントの種類には、パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラなどさまざまなものがあり、時代が進むにつれて、ハラスメントの種類は増えています。

このような時代の流れもあり、若手社員が電話対応に対して、精神的な苦痛を感じているのであれば、それは立派なハラスメントと認定されます。

このような理由から、テルハラは新しいハラスメントと言えるでしょう。

テルハラの実態について

ここでは、テルハラの実態について解説します。

電話対応の必要性の低下

現代では、電話による社外対応が少なくなってきています。

例えば、買った商品に問題があり、カスタマーサービスに問い合わせるケースを考えてみても、電話ではなく、電子メールやチャットによる問い合わせをするのが当たり前の時代となっています。

このように、コミュニケーションの方法は、確実に電話による通話から、電子メールやチャットツールなどによるテキストベースのやり取りに移り変わっており、電話対応の必要性が低下しています。

デジタルネイティブの若手社員は電話対応が苦手

2024年現在の若手社員はデジタルネイティブの世代です。

デジタルネイティブとは、物心ついた幼少期から、スマートフォンやパソコン、タブレットPCなどの電子端末が側にあり、インターネットを利用できる環境で育ってきた人達を指します。

このようなデジタルな環境が整備された状態で日常を過ごしてきた世代を、デジタルネイティブ世代と言います。

デジタルネイティブ世代は具体的には、インターネットが普及し始めた、1990年代後半〜2000年代に生まれた人達のことです。

2024年現在で言えば、20代〜30代のことを意味します。

つまり、今若手と言われる世代は、ちょうどデジタルネイティブ世代と言えます。

デジタルネイティブ世代からすると、日常的に電子メールやチャットツールによるコミュニケーションが当たり前であり、電話を利用した意思疎通の経験が浅いと言えます。

この事が、若手社員とベテラン社員の価値観の根本的な違いを生み出している、要因となっていると捉えることができます。

テルハラによる社員への悪影響

ここでは、テルハラによって職場にどのような影響があるかを解説します。

社員のパフォーマンスが低下する

まず第一に、職場の環境が悪くなり、社員の生産性が落ち込みます。

それは、職場の緊張感が高まり、社員が不安感を感じるため仕事上のミスが増えるからです。

また、電話対応を失敗した若手社員に対して、職権を持った課長や主任など、立場のある社員が執拗に叱責したり、感情をコントロールできず怒りをぶつけてしまうと、その若手社員は萎縮し、電話対応に対して苦手意識を持ってしまいます。

そのため、電話による対応を繰り返し失敗するという状態になってしまいます。

令和5年度にまとめられた厚生労働省の調査によれば、ハラスメントを受けた社員がどのような状態になるかというと、「仕事に対する意欲が減退した」と述べている社員が61.1%と、ハラスメントを受けた半数以上の社員がやる気を無くしています。

企業の離職率が増加する

テルハラにより、日常的に若手社員にストレスがかかると、その社員が早期に離職してしまい、会社の離職率が増加してしまうことが危惧されます。

テルハラが横行する職場では、職場の人間関係が悪化し、さらには仕事へのミスマッチを感じる社員が多くなります。

その結果、若手社員が退職してしまい、職場の生産性が低下します。

また、離職した社員の穴埋めを行うためには、採用活動を活発化させる必要があり、優秀な社員を採用するための手間とコストがかかるため、会社の経営に悪影響を及ぼす可能性が高まります。

長期的な採用活動を阻害する

テルハラが多く発生している企業においては、長期的な採用活動にも影響を与えます。

例えば、現在では企業の職場環境を、インターネット上の口コミサイトやSNSを通じて知ることも可能です。

そのため、ハラスメントが多発している企業は、インターネット上に悪い口コミや評判が蔓延してしまいます。

その結果、優秀な人材から、相手にされない企業になってしまい、その企業の競争力が低下してしまう原因となります。

会社のイメージを損なう

テルハラを始めとしたハラスメント行為が多い企業では、会社のイメージを低下させてしまうこともありえます。

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と呼ばれる法律があります。
通称、パワハラ防止法として浸透しており、企業内でこの法律に抵触した事案が発生したと認められた場合、その企業は厚生労働省から勧告を受けることになります。

さらに、厚生労働省から勧告を受けてもハラスメントが解消されない場合、企業名が公表される可能性があります。

厚生労働省から企業名の公表措置が取られた場合、その企業への世間の評判はガタ落ちするでしょう。

その結果、取引先からの契約打ち切りや、贔屓にしてくれていた顧客までも離れてしまうことが考えられます。

このように、ハラスメントを放置している状態は、その企業にとってデメリットでしかないのです。

テルハラ事案への対策

ここでは、テルハラが発生した場合の対処方法について解説します。

若手社員に電話対応の必要性をきちんと伝える

テルハラを防止する方法の一つとしては、若手社員に電話対応の必要性を伝え、電話対応業務に前向きになってもらうことがあげられます。

電話対応は社内や社外を問わず、その会社にとって大切なコミュニケーションの一つであり、仕事をこなす上で重要な役割であることを若手社員に伝えましょう。

また、若手社員が電話対応してくれるおかげで、多忙な中堅社員やベテラン社員の役に立っていることを理解してもらうことも重要です。

テキストベースの対応システムを導入する

コミュニケーションの方法を、基本的にテキストベースに切り替えるというのも、テルハラ対策の方法としてあげられるでしょう。

デジタルネイティブである若手社員は、電話対応は苦手であるという反面、スマートフォンやパソコンを使用した、テキストベースのコミュニケーションには長けています。

また、テキストベースによる情報のやり取りをするメリットは、その都度メモを取る必要がなかったり、相手とのやり取りの中で、曖昧になったやり取りを後から見返すことができることがあげられます。

テキストベースを主体としたコミュニケーションに切り替えるには、社外からの問い合わせ窓口をインターネットのシステム上の窓口に置き換えたり、社内専用のチャットシステムを導入することで可能になります。

電話対応に関するマニュアルを共有する

テルハラを防止する対策として、電話対応についてのマニュアルを共有するというのも一つの方法でしょう。

電話対応が苦手な若手社員の中には、電話対応を行う時に、どんな手順で何を話せば良いか分からないと不安を抱いている方も少なくありません。
そこで、電話対応において何を話せば良いか、どんな事に注意すべきかをマニュアル化し、若手社員と共有することで、若手社員の電話への苦手意識を振り払うことも可能です。

電話対応研修を実施し電話の使用に慣れる

若手社員の電話対応への苦手意識を軽減するために、若手社員に対して、電話対応研修を実施することも有効的です。

電話対応研修を通して、若手社員に電話を使用することに慣れてもらい、電話で話す時の不安を払拭させたり、緊張を和らげたりすることに役立ちます。

電話相手を、取引先企業や民間のお客様、あるいは社内の別のチームといった各々のケースを想定し、電話対応研修に取り組むことで、若手社員のパフォーマンスを向上させることもできるでしょう。

電話マニュアルや応対研修を行うにあたり、電話の録音や音声テキスト化が非常に有効と考えます。

◆通話の録音システム「FlexLog」の詳細はこちら
https://www.optsp.co.jp/product/flexlog.html

◆通話音声のテキスト化・要約システム「FlexVNote」の詳細はこちら
https://www.optsp.co.jp/product/flexvnote

電話代行サービスを導入する

最近では、電話対応を専門にしているサービスもあるので、それを利用することも、テルハラ対策の一環となるでしょう。

電話代行サービスの大きなメリットは、人材不足で困っている企業にとって、電話対応する人的リソースを割かなくて済むことです。

企業によっては、お金を払ってでも、付随業務を減らしたいという会社もあります。

そのような企業にとっては、電話代行サービスを利用することは、社内業務に集中することができる環境を作り出すことができます。

テルハラ まとめ

ここまで、テルハラとは何か、テルハラによる職場への悪影響、テルハラを防止する対策について言及してきました。
この記事の内容をまとめると以下の通りです。

1.テルハラとは、TELハラスメントの略称で、職権のあるベテラン社員が、立場の弱い若手社員に、電話対応を強要するハラスメントのこと。
2.テルハラの根本原因は、デジタルネイティブである若手社員と、電話対応に慣れているベテラン社員との価値観の違いによるもの。
3.テルハラによる悪影響は、社員のパフォーマンスが低下させたり、企業の離職率が上昇したりすることがあげられる。
4.テルハラの対策方法としては、電話対応の重要さを若手社員に伝えたり、電話対応の研修通して若手の教育を行うことなどがある。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。